梅田望夫さんのイベントに行ってきました

9月1日の梅田望夫さんとミラクリナックスCTO吉岡弘隆さんの対談イベントの手伝いに行ってきました。
このイベントの運営はJTPA(技術を志向する日本人プロフェッショナルがシリコンバレーで働くのを支援するためのNPO)のボランティアスタッフが中心となってやっていて、自分はJTPAの皆さんといままで関わりはなかったけれど、これからシリコンバレーに行くこともあり縁あって手伝いをすることに。

運営側にいたため、対談自体は前半30分程度しか聞くことができなかったので今日は前半で自分が興味を持った点と思うところを3点ほど。残りは出国後海の向こうでビデオを見てまたアップしようと思います。
なお、対談のビデオはYouTubeにアップされているので、見たい人はこちらからどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=t2-Uk_cIctc


−たかがシリコンバレー、されどシリコンバレー
梅田さんは、シリコンバレーについて考えるとき、このように思われるそうです。たしかに、Yahoo, Google, Youtubeが生まれ、Web系の先端のベンチャーの多くが集中しているこの場所には、他の場所にはない何かがあるようだ。よく言われるところでは、シリコンバレーにはVCが集まっていて、産学連携の体制も整っており、ベンチャーを興すのに良い環境がそろっているという話がある。ただそういった仕組みを世界中がSVから学んで真似をしてきている中でもやっぱりシリコンバレーが台風の中心であり続けるのは、精神や文化といった別の要素が深く関わっているのかもしれない。それは、一体何なのか?そのあたりを、これから自分の目と耳で確認してきたいと思う。

−90年代はMicrosoftに代表される大規模ソフトウェア開発が主流だったが、今はオープンソース的な開発のやり方がそれを超えてきている。Googleの組織体制はこのオープンソース的なやり方になっていて、人を強制するツールがなく、本当に自分が何をやりたいかというエンジニアの興味をベースに高効率の開発が行われている。
この話を聞いていて思ったのは、今後オープンソース的なやり方の有効性が証明されて、また他業種でも応用が効くということになった場合、これは組織のあり方・労働のあり方の革命になるということ。労働のあり方が変わるということは、人の生活のあり方が変わるということで、そういった動きが大きなうねりとなってきたら社会も大きく変化するのではないだろうか。プログラマー達が自分達の好きなことを追求して始めたオープンソース開発。これが、産業と社会の大きな変革の萌芽だったとしたら、僕達はとても面白い時代に生きていることになる。

オープンソースソフトウェアのほとんどは使われない。そんな中で皆に使われるトップのソフトウェアは非常に高い生産性で作られていて、企業製品にも引けをとらない。
200万人いるといわれているオープンソースプログラマーが生産する無数のソフトウェアのうち、一握りだけが多くの人に使われ、またそのようなソフトのコミュニティが成長してより多くのプログラマによって開発がされてゆく・・このイメージは、あるモデルに似ている、と直感的に思った。シリコンバレーにおける、ベンチャー企業の多産多死のモデル。大量のベンチャー企業のうち少数だけが生き残り、成長を続けていく。このように、母数を大きくすることで、全体の中に「当たり」が生まれる頻度が高くなり、また当たりがあった場合、そこにリソース(オープンソースではプログラマベンチャーでは人材・資金など)が集まってゆくことで当たりの個体がすごいスピードで成長してゆく(この仕組みは、CSで扱う遺伝的アルゴリズムのエッセンスでもある)。このようなメカニズムが、オープンソースの有効性を生む一つの要因になっているのかもしれない。この原理自体は、ソフトウェアだけに限定されるものではないので、もしこれが本当に有効性の一因であったならば、母数の確保、そして当たり個体へのリソースの移動という条件を担保できるような他の産業でもオープンソースが有効、などという横展開も考えられる。この仮説自体は間違っているかもしれないけれど、オープンソースがなぜすごいのか、そのメカニズムがわかれば色々な応用ができ、そのインパクトはかなり大きいと思う。



追記 会場を貸していただいた日本オラクル様のご好意で、元祖社員犬ウェンディに面会させてもらいました。想像以上に大きかったんですが、とても人なつっこくかわいい犬で、社員の皆さんに可愛がられているようです。

社員証もちゃんとあるんだね。