物理的に大学に通う意味

今日は、授業のGrading Sessionの日で夕方から6時間ほど宿題の採点作業をしてきました。
Grading Sessionがどんなものかというと、TA(授業のアシスタント)や選抜された学生計10名弱でクラス100人分くらいの答案を採点するというもの。量・難しさともにけっこう重いので、これもなかなかの重労働です。

そんな重労働なのになぜわざわざやるか、というとわりと、いい時給がもらえるのと、なによりスタンフォードの授業がどんな風に回っているのか、内部から見れるので、これはいい機会と応募したわけです。
2週に1度のペースで、今日で3回目。ずいぶん作業にも慣れてきました。


この作業を通じて発見した一つの面白い傾向は、物理的に大学に通っている学生はリモートで授業に参加している学生(社会人学生が主)よりも点数が良い、ということ。
スタンフォードにはSCPD(Stanford Center for Professional Development)という、リモートで授業に参加してある種の学位をもらえるプログラムがあるのですが、このSCPDの学生の答案を採点すると、けっこう間違いが多い。
宿題にかけられる時間の違いなどいろいろな要素はあるだろうけれど、僕が思うに、物理的に大学にいて周りの学生やTAと議論しながら学ぶことの効果というのが大きい。
自分を振り返ってみても、完全に一人で授業の資料を全て完全に理解して宿題も完璧に解くというのは、かなり厳しいです。
人とのインタラクションの中で理解が早まり、深まる効果というのは無視できないのではないでしょうか。


なお、「大学にいる学生達は答えを写しあってるだけなんじゃない?」という疑問もあるかもしれませんが、それはさにあらず。スタンフォードにはHonor Codeというのがあって、人の答えを写した答案を提出するとHonor Code違反で1学期の停学と清掃活動が課せられるという恐ろしい罰があるので、皆それはしないようです。特に留学生はフルタイムの学生の資格を失った時点で即国外追放なので、絶対にやっちゃいけません。
実際に、去年の機械学習のクラスでは2,3人違反でつかまったそうです。恐ろしい・・


そういえばMITやUCBで授業をオンライン公開するプログラムがありますが、それらを中心として勉強のためのオンラインコミュニティができあがったら、さらに素晴らしいだろうな、とふと思いました。それがあるのとないのとで、公開プログラムの価値はかなり変わるだろうな。
たしか、MITは当初そんなコミュニティ作りも計画していたと思いましたが、今どうなっているんでしょう。